韓国ドラマの出産シーンって、なぜあんなにリアルで心に残るのでしょうか。
ボクは韓国ドラマライターとして、その理由を深く掘り下げてみました。
実は韓国の出生率は0.72と世界最低レベル。そんな中で制作される韓国ドラマは、妊娠から出産までをとても丁寧に描いているんです。
今回は感動の出産シーンが印象的な作品と共に、意外と知られていない韓国の出産事情についてご紹介します。
出産シーンが印象的な韓国ドラマ

命の誕生を描くシーンは、どんなドラマでも感動的なものですが、韓国ドラマの出産シーンには独特の魅力があります。リアルな演技と緻密な演出で、視聴者の心に深く響く作品をご紹介します。
特に最近は多様な切り口で描かれ、それぞれのドラマならではの感動があるんですよね。
この章では、ボクが特に印象に残っている作品を3タイトルご紹介します。
産後ケアセンター
韓国を代表するドラッグストア「オリブリー」の常務として活躍するオ・ヒョンジンが主人公の8話構成のヒューマンドラマです。41歳という遅めの初産で、キャリアと育児の両立に悩む現代女性の姿を描いています。
印象的なのは、大切な商談中に突然の破水というシーン。
予定日まであと2日というタイミングでの出来事に、視聴者はハラハラドキドキ。陣痛シーンでは予想以上の痛みに苦しみ、生死の境をさまよう様子がリアルに描かれます。
出産後は「セレニティ産後ケアセンター」に入所。
そこでカリスマママのウンジョンをはじめとする個性的な母親たちと出会い、戻らない体重、泣き止まない赤ちゃん、復職への焦りなど、現代の働く母親が抱える悩みと向き合っていきます。
千万回愛してます
父親の肝臓移植費用を工面するため、代理母になることを決意したウンニムの壮絶な人生を描く全55話の大作ドラマです。
代理出産というデリケートなテーマに真正面から向き合い、命の尊さと家族の絆を深く描いています。
過酷な運命に翻弄されながらも自らを犠牲にして家族を救おうとする主人公の姿に、多くの視聴者が涙を誘われました。
特に、自分が産んだ子どもが実は夫の兄の子だと知る展開は、視聴者に大きな衝撃を与えました。出産シーンは命の重みを感じさせる、ドラマの重要な転換点として描かれています。
TWO WEEKS
緊迫感あふれる展開の中で描かれる予期せぬ出産シーン。道端で産気づいた妊婦が行き倒れになりかけるという、ハラハラドキドキの展開が印象的です。
救急車の到着を待つ間の緊張感や、周囲の人々が協力して命を守ろうとする様子は、視聴者の記憶に鮮明に残ります。
このドラマでは、計画された出産とは異なる緊急事態としての出産シーンを描くことで、命の誕生の瞬間の予測不可能性と尊さを表現しています。
路上という特殊な環境での出産シーンは、韓国ドラマならではの大胆な演出として注目を集めました。
韓国ドラマの出産シーン|番外編

出産シーンの背景には、実は韓国特有の医療システムや文化が影響しているんです。
胎児への愛称をつける習慣から、帝王切開率の高さまで。
ドラマをより深く楽しむために、知っておきたい韓国の出産事情をお伝えします。
韓国の出生率は?
2023年、韓国の出生率が0.72まで下がり、8年連続で最低記録を更新しているんです。
ボクも衝撃を受けた数字なのですが、もっと驚くべきことがあります。
実は地域によって大きな差があるんです。
特に首都圏での低下が著しく、ソウル市は0.55という信じられない数字に。
さらに、ソウル市内の鍾路区では0.40、広津区で0.45、江北区と麻浦区で0.48と、軒並み0.5を下回っています。
これは日本の1.26(2022年)やOECD平均1.58(2021年)と比べても、かなり深刻な状況と言えます。
背景には、韓国特有の事情があります。
首都圏への人口集中が顕著で、2023年12月時点で全人口の50.7%、就業者の51.6%が首都圏に集中しているんです。
若者たちは良い仕事を求めて首都圏に集まりますが、激しい競争の中で結婚や出産を諦めざるを得ない状況に追い込まれているようです。
退治に名前をつける?
韓国の胎児ネーミング文化について、ボクも最初は「へぇ~」と驚いたのですが、実は深い意味が込められているんです。
妊娠がわかると「태명(テミョン)」という胎児専用の愛称をつけるのが一般的な習慣なんです。
人気の名前には、
「튼튼이(トゥンントゥニ)=元気・丈夫」
「사랑이(サランイ)=愛」
「행복이(ヘンボキ)=幸せ」
「복덩이(ボクトンイ)=福」
「똘똘이(トルトリ)=賢い」
など、赤ちゃんへの願いを込めた素敵な意味のものが多いんです。
面白いのは、あえて変な名前をつける習慣も。
例えば「개똥(ケットン)=犬のフン」という一見マイナスなイメージの名前。これには「トッケビ(韓国の鬼)の嫉妬を避けて、赤ちゃんを守る」という言い伝えがあるんです。
ドラマ「運命のように君を愛してる」でも、このエピソードが印象的なシーンとして描かれています。
帝王切開が多いって本当?
韓国の帝王切開事情について、ボクなりに詳しく調べてみました。
驚くべきことに、韓国の帝王切開率は36-37%で、OECD加盟国平均の26.9%を大きく上回っているんです。
1980年代初めはわずか4-5%だった帝王切開率が、1990年代後半には30%を超え、1999年には43%まで上昇。
政府が対策を講じた結果、2003年には38%まで低下したものの、ここ10年は36-37%台で高止まりしている状況です。
この背景には複数の要因があります。
まず、産婦の平均年齢が上昇し、2005年に30歳を超え、現在では32歳に。
35歳以上の高齢出産が全体の21.6%を占めているんです。
また、医療紛争を避けたい医師の意向や、自然分娩の診療報酬が低いことも要因とされています。
入院日数は自然分娩の3日に対し、帝王切開は6日と長期化。
母乳分泌の遅れや授乳の困難さというデメリットもありますが、出産日時を調整できる利点から選択する方も多いようです。
総括:韓国ドラマの出産シーン
それでは最後に、この記事の内容をまとめます。