韓国ドラマの視聴率の世界には、知れば知るほど興味深い発見があります。
1990年代には驚異の66%を記録した伝説の作品があり、現在はNetflixなど配信サービスの台頭で視聴率の形が大きく変化してきています。
例えば日本でヒットした作品が、実は本国韓国では視聴率に恵まれなかったり、逆に韓国で低視聴率でも日本で大ブームを巻き起こしたドラマもあります。
さらに印象的なのは、放送開始時は1%にも満たなかった作品が、口コミで徐々に広がり大ヒットへと化けた逆転劇。そんな視聴率の数字だけでは語れない魅力が、韓国ドラマにはたくさん詰まっているんです。
地上波、ケーブルテレビ、配信サービス。それぞれの世界で異なる基準を持つ韓国ドラマの視聴率事情。
数字の裏に隠された意外な物語を、詳しくご紹介していきましょう！
歴代の韓国ドラマ高視聴率タイトル
高視聴率を記録した韓国ドラマには、どんな共通点があるのでしょうか。
実は制作費の規模や有名俳優の起用だけでなく、放送枠や時期、そして視聴者の生活スタイルまでもが大きく影響しているんです。
特に週末ドラマは家族で視聴する習慣が根付いているため、平日ドラマとは異なる独自の魅力を持っています。
数々の名作の中から、特に印象的な作品をピックアップしてご紹介します。
『宮廷女官チャングムの誓い』
朝鮮王朝時代を舞台に、一人の少女が数々の困難を乗り越え、王の主治医にまで上り詰める壮大な物語。料理の腕と医術を武器に、宮廷という厳しい世界で生き抜く姿に多くの視聴者が魅了されました。
最高視聴率57.8%という驚異的な数字を記録し、20年経った今でも韓国の歴代視聴率ランキング上位に君臨しています。イ・ヨンエの繊細かつ力強い演技は、彼女の代表作として今でも語り継がれています。
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『パリの恋人』
パリと韓国を行き来する、切ない運命の恋を描いたラブストーリー。最高視聴率57.6%を記録し、2000年代の韓流ブームを牽引した作品の一つです。
ヒロインを演じたキム・ジョンウンのファッションは当時大きな話題となり、「チェ・スヨンスタイル」として韓国で流行しました。パリでのロケシーンは、海外ロケがまだ珍しかった当時、新鮮な衝撃を視聴者に与えました。
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『私の名前はキム・サムスン』
30代のパティシエと年下御曹司との甘くて切ないラブストーリー。最高視聴率51.1%を叩き出し、「30代のシンデレラ」として大きな話題を呼びました。
主演のキム・ソナは役作りのために8kgの増量に挑戦。等身大のヒロイン像が多くの女性視聴者の共感を呼び、ヒョンビンとの年の差ロマンスは、新しい韓国ドラマの形を作り出しました。
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『たった一人の私の味方』
朝昼ドラマの印象が強い家族愛をプライムタイムで見事に描き切った意欲作。2019年に放送され、最高視聴率49%という驚異的な数字を記録しました。
人気女優チェ・ユファが演じる主人公カン・ウンジンは、シングルマザーとして一人娘を育てながら、自身の夢も諦めない強さを持つキャラクターとして共感を呼びました。特に母と娘の複雑な関係性を丁寧に描いた脚本は、多くの視聴者の涙を誘い、「週末の顔」と呼ばれるほどの人気番組となりました。
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『太陽の末裔』
2016年に一大旋風を巻き起こした傑作。最高視聴率39%を記録し、アジア全域でソン・ジュンギの軍服姿が話題となりました。
特殊部隊の青年将校と美人女医という、一見接点のない二人の恋を描きながら、命の重さや平和の尊さまでも織り込んだ重厚な作品に仕上がっています。撮影の大半が事前製作で行われ、韓国ドラマでは珍しい全話完成での放送開始となった革新的な制作手法も注目を集めました。
現在はNetflix、U-NEXT、Amazonプライム・ビデオなど主要配信サービスで視聴可能です。
『星から来たあなた』
2013年末から2014年にかけて放送され、最高視聴率28.1%を記録した革新的なラブファンタジー。400年前に地球に来た宇宙人と、トップ女優との予期せぬ同居生活から始まる恋模様を描いています。
チョン・ジヒョンが演じたチョン・ソンイの「チキンとビール」のシーンは韓国で社会現象となり、劇中で登場したファッションやメイクは若い女性たちの間で大流行。キム・スヒョンの知的で冷静な宇宙人役も絶賛され、二人の予想を超えた化学反応は今でも語り草となっています。
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『夫婦の世界』
2020年、韓国のケーブルドラマ史上最高視聴率28%を記録した衝撃作。英BBCドラマのリメイク作品ながら、韓国的な解釈を加えることで独自の魅力を放つ作品に仕上がりました。
キム・ヒエが演じる女医が、夫の不倫に気付いてから始める復讐劇は、単なる不倫ドラマの域を超え、結婚制度や家族の在り方まで問いかける社会派ドラマとしても高い評価を受けています。パク・ヘジュンの好演も話題を呼び、Netflixでの国際配信でも大きな反響を得ました。
現在もNetflix、U-NEXTで視聴可能です。
『財閥家の末息子』
2022年後半に放送され、JTBCで最高視聴率27%を記録した傑作。財閥家の忠実な秘書として働いていた主人公が殺害され、財閥家の末っ子として過去に生まれ変わるという斬新な設定で、復讐劇とサクセスストーリーを見事に融合させました。
ソン・ジュンギの1人2役とも言える演技は百想芸術大賞で最優秀演技賞を受賞。特に1987年から始まる韓国の経済発展期を背景に、財閥の成長と没落を描いた緻密な脚本は、多くの視聴者を魅了しました。
Netflixで配信されています。
『SKYキャッスル』
2018年末から2019年初頭にかけて放送され、初回視聴率1.7%から最終回23.7%まで驚異的な上昇を見せた社会派ドラマ。韓国の超高級住宅街に住む上流階級の教育観を痛烈に風刺し、社会現象を巻き起こしました。
特に、イェソ役のキム・ヒョンスの「ノーキャップ！」という決めゼリフは大流行し、主要キャストの演技力の高さも絶賛されました。教育熱心な韓国社会の闇を描きながら、サスペンス要素も効果的に織り交ぜた脚本は、多くの賞レースを席巻。
U-NEXT、Netflixで視聴できます。
『愛の不時着』
2019年末から2020年初頭にかけて放送され、最高視聴率22%を記録。パンデミック期に世界的なブームを巻き起こし、Netflixでも多くの国でトップ10入りを果たしました。
パラグライダーの事故で北朝鮮に不時着した財閥令嬢と、北朝鮮軍人との禁断の恋を描き、ヒョンビンとソン・イェジンの実際の交際・結婚にまで発展した点でも話題を呼びました。北朝鮮の日常生活を丁寧に描写した作品性の高さも評価され、tvNの看板作品となっています。
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『雲が描いた月明り』
2016年に放送され、最高視聴率23.3%を記録した青春史劇。男装した女性が王世子の家庭教師となり、繰り広げられるロマンスを描いた作品です。
パク・ボゴムとキム・ユジョンの若々しい演技と息の合った掛け合いは「ボギョン・カップル」として熱狂的な支持を集めました。特に毎回のエンディングシーンは「月明びエンディング」として話題となり、視聴者の期待を裏切らない演出も高く評価されました。
U-NEXT、Netflixで視聴可能です。
『トッケビ』
2016年から2017年にかけて放送され、最高視聴率19.6%を記録した韓国ファンタジードラマの金字塔。不滅の命を与えられた古代の武将と、彼の花嫁となる現代の女子高生との切ない恋を描いています。
コン・ユの繊細な演技とキム・ゴウンの爽やかな魅力が相まって、tvNの歴代視聴率記録を更新。劇中の撮影地は韓国の観光名所となり、OST「Stay With Me」は今でも韓国の結婚式で定番曲として使用されています。
現在もNetflix、U-NEXTで人気配信作品となっています。
『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』
2022年、地上波の強豪を押さえ最高視聴率18%を記録した新鋭ケーブル局ENAの大ブレイク作。自閉スペクトラム症を持つ天才女性弁護士の活躍を描き、社会的マイノリティーへの理解を深めるきっかけとなりました。
パク・ウンビンの繊細な演技は百想芸術大賞で大賞を受賞。法廷シーンの緻密な描写と共に、主人公の成長物語としても高い評価を得ています。
Netflixでの配信開始後、国際的な反響も呼んでいます。
『椿の花咲く頃』
2019年にKBSで放送され、最高視聴率23.8%を記録した感動作。シングルマザーが営む小さな酒場「カメリア」を舞台に、様々な人々の人生模様を温かく描き出しています。
コン・ヒョジンが演じる主人公の強さと優しさ、カン・ハヌルとの大人の恋愛模様は視聴者の心を掴み、サスペンス要素も効果的に織り込まれた脚本は、第56回百想芸術大賞でドラマ大賞を受賞。
現在はNetflix、U-NEXTで配信中です。
『梨泰院クラス』
2020年に放送され、最高視聴率16.5%を記録したJTBCの意欲作。元受刑者が梨泰院で小さな居酒屋から事業を始め、財閥企業に立ち向かっていく姿を描いた復讐と成功の物語。
パク・ソジュンの熱演はもちろん、トランスジェンダーや社会的マイノリティのキャラクターを自然に描き込んだ脚本も高く評価されました。原作ウェブトゥーンの人気も相まって、梨泰院の街並みは観光名所となり、劇中のポークカツ店は実在の店舗の売上を急増させました。
Netflixで配信中です。
歴代の韓国ドラマ高視聴率タイトル｜深掘り情報
視聴率の数字の裏には、実はたくさんの要因が隠されています。
放送局による違い、製作費の規模、競合番組の存在、さらには視聴者の生活パターンの変化まで。
近年では従来の視聴率だけでなく、SNSでの話題性やOST（劇中歌）の音源ランキング、さらには撮影地への観光客増加数なども、作品の評価を左右する重要な指標となってきています。
ここからは、そんな視聴率の深い世界に踏み込んでいきましょう！
日本で放送された韓国ドラマの視聴率
韓国ドラマの日本での放送形態と視聴率の関係は、とても興味深い変遷を辿っています。
まず2003年の『冬のソナタ』から本格的に始まった第一次韓流ブーム。
この時代は地上波やNHK衛星放送での放送が主流でした。『宮廷女官チャングムの誓い』は韓国で57.8%という驚異的な視聴率を記録し、日本でもNHK衛星放送で平均視聴率が15%を超える大ヒットとなりました。
続いて2010年代に入ると、『トッケビ』『太陽の末裔』といった作品が韓国で20%前後の高視聴率を記録。でも日本では、ケーブルテレビやCSチャンネルでの放送が中心となり、視聴率での評価が難しくなってきました。
さらに2019年以降は配信プラットフォームの時代へ突入。
『愛の不時着』は韓国で最高視聴率21.7%を記録しましたが、日本ではNetflixでの配信が主流に。パンデミック期の巣ごもり需要と相まって、これまでとは異なる形で大きな話題を呼びました。
『梨泰院クラス』も同様で、韓国での最高視聴率16.5%に対し、日本では視聴率という形では現れない人気を獲得。
特にSNSでの盛り上がりや、劇中に登場する店舗の再現店が話題を呼ぶなど、新しい形での人気の指標が生まれています。
最近では『財閥家の末息子』や『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』など、韓国で高視聴率を記録した作品も、日本では主にNetflixやU-NEXTでの配信が中心。
視聴者は「いつでも」「どこでも」「好きな時に」視聴できる利便性を重視し、もはや視聴率という従来の指標では測れない新しい評価基準が確立されつつあります。
また興味深いのは、韓国では低視聴率でも日本で人気となるケースも。
『チャングムの末裔』は韓国では0.7%という低視聴率でしたが、日本では『宮廷女官チャングムの誓い』の関連作品として注目を集めました。
このように、両国での評価が必ずしも一致しないのも、韓国ドラマの魅力の一つと言えるでしょう。
視聴率は何パーセントが良い？
韓国ドラマの視聴率について、もっと詳しく掘り下げてみましょう！
視聴率の評価は、放送局のタイプによって大きく異なるんです。
特に週末ドラマは強さを見せていて、『たった一人の私の味方』は49%、『製パン王キム・タック』は49.3%という驚異的な数字を記録しています。
週末は家族揃って視聴する習慣があり、自然と視聴率が高くなる傾向にあるんです。
一方、ケーブルテレビ（tvN、JTBC、OCNなど）の基準を見てみましょう。
ケーブルテレビでも『夫婦の世界』は28%、『SKYキャッスル』は23.7%を記録し、地上波に迫る勢いを見せています。
特に2020年以降、ケーブルテレビの制作力は目覚ましく向上し、地上波との垣根が徐々に低くなっているんです。
最近では、新しい評価基準も登場しているんです。
例えば『椿の花咲く頃』は視聴率23.8%に加え、OSTの音源チャート1位、主演俳優の爆発的な人気など、複合的な成功を収めました。
また平日・深夜枠では、
興味深いのは、NetflixやディズニーPlusなどのOTTプラットフォーム制作ドラマ。
従来の視聴率という物差しは存在しませんが、グローバルな視聴者数やSNSでの反響が新しい評価基準として定着しつつあります。
視聴形態の変化により、「成功」の定義自体が変わってきているのが現状なんです。
歴代の低視聴率タイトルは？
韓国ドラマの世界では、時として「伝説の低視聴率」と呼ばれる作品が存在します。
これが意外にも興味深い物語を持っているんです！
- 『IDOL』：0.35%（JTBC）
- 『イミテーション』：0.40%（KBS）
- 『恋はオン♡エアー中!』：0.43%（JTBC）
- 『曲げない男、ク・ピルス』：0.45%（ENA）
- 『夜食男女』：0.45%（JTBC）
低視聴率の主な原因を分析すると、このような傾向が見えてきます。
特筆すべきは視聴率1%未満からの大逆転劇。
『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』は第1話0.95%からスタートし、口コミで評判が広がり最終的に17%台まで上昇。
さらに百想芸術大賞では大賞を受賞するという快挙を成し遂げました。
アイドル出演作品の苦戦例もあります。
こんなタイトルが代表例ですかね。
興味深いのは豪華キャスト作品の低迷ケースです。
下記はその主要タイトルです。
近年の特徴的な傾向として、こんな要素もあったりします。
ただし、低視聴率でも後に再評価される作品は多数。
『チャングムの末裔』（0.70%）は海外での評価が高く、『ラブ・セラピー』（0.77%）はNetflixでの配信後に人気が急上昇しました。
低視聴率でも注目すべき作品としては、下記のタイトルなんかおススメです。
これらは視聴率は低くても、ストーリー性や演出、演技力で高い評価を得ている作品です。
特に配信サービスでの再配信後に評価が覆されるケースも少なくありません。
つまり、視聴率は作品の価値を測る一つの指標に過ぎず、時代や視聴環境の変化によって、新たな評価軸が生まれている状況。低視聴率イコール失敗作という単純な図式は、もはや当てはまらなくなってきているようです。
総括：韓国ドラマ高視聴率歴代まとめ
それでは最後に、この記事の内容をまとめます。
